第47回

「俺様」的心情のゆくえ

2023年5月 13日

 

長期のお休みも終わりましたね。これから長雨の季節になりますが、今年はどのぐらいの期間が雨季になるのでしょうか。

ところで、心の中に、他人が棲みつくという現象が私には起こることがあります。人によって、棲みつく期間は様々で、数日ぐらいから数年単位と長期にわたる場合もあります。棲みつくと、何か事あるごとに、その人の過去の言動が意識の表面に現れるようになるので、私個人にとってはこの現象は心苦しい状態になります。そして総じて、相手の人柄は威圧してくるタイプで、セルフ俺様なのです。

先日、長年にわたり地域の世話役をしてくださっていた方が、その役目を終えられることになったので、その最後の会合に出席してきました。参加人数は、約20人ぐらいだったのですが、その方の話(自説)を聞いていて「なるほど、な……」と変に納得してしまったのです。いちばん、この国で人口比率が多い団塊の世代は、現在は75歳前後ということになるのですが、同世代の人数が多い分、競争も苛烈で、そして戦後には弱肉強食の概念も理論として入ってきているので、自分の価値を上げるために自分の功績を述べて、その価値をさらに高めるために反論できないおとなしそうな人間をスケープゴードとして貶めるという行動を繰り返すのです.

力と言葉の支配。一種の20世紀型テンプレート人物であり、私の人生の中でもこのタイプの方を幾人か見てきました。頭の回転が速く、弁が立つので、敵認識されると攻撃されるので正面切って刃向かう人はいなくなり、ゆるく下につくか少し離れたところで様子見をするか、陰に回って本人に知られないように悪口を吹聴するかという、いくつかのパターンに対応する人間は分かれていくのです。逃げられない仕事場にこのタイプがいれば、かなり精神的に圧迫感があって病みそうです。

そして、私はといえば、相手側から受けた念エネルギーが強いので、今回もエネルギーが移ってきて、その処理に追われています。一週間ほどたちましたが、まだ完全には抜けていません。たびたび意識上にしつこく浮かび上がってきます。これまでの時代は、このタイプの人が声も態度も大きいので、社会的にも成功しやすかったのでしょう。ですから成功パターンと理解していて、ご本人は生き方を変えることはありません。自分を悪いとは思わずに、つねに外敵を探す性格なので、人生の最後まで存在する意識の層が変わることもないのでしょう。

私としては、受けたくないエネルギーを、どのように受けないようにして、そして避けたいな、ということです。または、受けたとしても、その日のうちに処理出来たら、負担も少ないのでありがたいなと考えております。

人の言葉には、エネルギーが乗ります。それは、発する人の精神からのエネルギーでもありますし、具体的な事柄を語るときに付着してくる感情のエネルギーでもあるのです。そして、この場合は、明るく良いものではなく、マイナスの要素が色濃いものです。「お金について」の項目でも書いたように、見ず知らずの人から突然に話しかけられる場面は、私の場合はままあるのですが、なかなか内容が重い場合もあります。二日前にも、帽子売り場で夏用の帽子を吟味していたところ、突然横に人が立ち、私に向かって話を始めました。最初は、ご自分が選んでいた帽子のお話だったのですが、すぐに昨年ご主人を末期がんで亡くされた話になり、その様子の一部始終を事細かく話し始めたので、私は帽子選びをさっさと切り上げて、先にその場を離れました。私も、7年前にがんで家族を亡くしているので、末期がんの最後がどのような状態なのかは、聞かされなくても知っています。夫を亡くして一年もたっていないその見知らぬ他人は、情緒が不安定な状況だということはわかりましたが、それ以上は無理だったのです。すでに、浄化できていない負荷がかかっているのに、さらにエネルギーの上乗せ、それも私のつらい記憶に抵触する内容は勘弁していただきたいのです。

なぜ、見ず知らずの人が、日常の中で急に話しかけてくるのか……。私には、大きな謎です。

日戸 乃子(ひと のこ)