ある魂の軌跡
ある日の夕方、帰宅途中に前方からこちらに向かってくるレッカー車の荷台に乗せられた軽自動車が目に入りました。
フロントガラスが粉々に割れボンネットはペッタンコに潰れており、そのすぐ後もう一台同じように大破した軽自動車が運ばれて行くのをみて、正面衝突の大事故が起きていた事を知りました。
そこから交差点を一つ通り過ぎたところで、警察の鑑識班の現場検証のため脇道に迂回するように促され田舎の細い田んぼ道へ入り、そのままその日は無事に帰宅しました。
事故現場は子どもの通学路でもあり、話によると下校の時にはもう既に道路は封鎖されて私と同じように田んぼ道を抜けって帰ってきたとのことでした。
学校もいくつか近くにあり、小学生から高校生まで田舎にしては子どもがよく通る道でもあったので、後日お清めに行くことにしました。
というのも以前住んでいた街でのお清めの経験があったからです。
近所に年に数回、車がひっくり返るような大きな交通事故が起こる交差点があり、信号機がついても交通事故は全く減らない交差点でした。ひどい時にはひと月に2回も凄惨な事故が起きていました。
私が子どもの頃から長年そういう状況でしたので、事故が更に次の事故を呼んでいるように感じることもしばしばありました。
マツリヌシの資格を取ってから、交通事故が起こると必ずその交差点をお清めするようにしていました。(そこも子どもたちの通学路だったからです。)
それからだんだん交通事故は減り、引っ越すまでの数年間は事故がなくなりました。
県下にいる他のマツリヌシも同じように、交通事故や不審者情報があると自宅の近くや子どもたちの通学路などをお清めして回っていたので、その効果は皆実感していましたし、子どもたちを守るために自分たちにできることがあるというのは非常に有り難かったです。
といことで今回も交通事故現場をお清めすることにしました。
ちょうど週末に出かける際に現場を通るので、その時にお清めをすることにしました。
現場のひとつ手前の交差点から、あたり一面濃い霧に包まれ幽界のような空気を感じた。晴れていて日差しもありものすごく明るいのに、あたり一面霧で視界は15m〜20m程。霧が出ていたので迷いましたが、現場に着くと大丈夫そうだったので以前と同じように積司塩を使いお清めをしました。とりあえずここまでと感じたので、出かける目的地へ向かって車を走らせました。
すると車の中が物凄く生臭くなり、まるで生魚を積んでいるかのようでした。
しばらく浄化上昇しながら運転していると匂いは消えました。
その日の午後、出先でネットニュースをみてこの事故で亡くなられた方がいることを知ったのですが、なんと近所の初老の方でした。帰り道また現場を通るので、現場少し手前のコンビニに車を停め、光の送りをさせてもらうことにしました。一緒にいたもう一人のマツリヌシと二人で光の送りの御言葉を読ませていただきましたが、響くものがなく固まっているようでした。突然の死で亡くなったことを受け入れられないようにも感じました。私にできることが思い浮かばず、どうして差し上げるのがいいのだろうと思案に暮れていましたが、「あっ、何田さん!」と頭に浮かびました。
何田さんも雪崩に遭い突然命を落とされた方です。そして、亡くなられた後も生前と同じく世の為人の為にずっと働き続けていらっしゃる方です。突然亡くなった何田さんなら故人のお気持ちをくみながら、お話しできるのではないかと思い「何田さん、お願いします。お力を貸してください。」と心の中でリフレインしていました。
するとどこからともなく何田さんの雰囲気を感じ、固まっていた故人がもたげた頭をすーっとゆっくり挙げられたように感じました。動きが出てきたことをもう一人のマツリヌシと確認し、あとは何田さんにお願いをしてその日は帰路につきました。
そして村内放送で、翌日の午前中がお葬儀だと知りました。
翌日私は庭先に出て、農作業をしながら「故人の方が思いを残すことなく無事光の方を目指されるようになりましたら、何かお知らせをいただけないでしょうか。」とお願いしながら、作業をしていました。
お天気も久々の快晴でひだまりの庭先でしたが、気温は数度。先日降った雪が土の上には残り、まだまだ寒い1月。
急に春風のように暖かい風が頬を撫でました。
ふと手を止めて庭先に目をやりましたら、そこには青い空に絵描いたような白い雲、桜の花がチラチラと舞いながら黄色や白の蝶々がふわりふわりと飛んで、美しく光る里山の春景色が見えました。
その間ずっと心地よい春風があたりを包みました。時間にして1〜2分くらいのことだと思います。最後に故人がふる里を見に来られたんだなぁ、無事に終わったんだな(お葬儀も故人のお気持ちの整理も)と感じたのです。
あまりに心地よい春風と、あまりに美しい景色に感動のあまり涙が出そうでした。
その後、春風が吹くことは一度もなく、目の前には色味の少ないいつも通りの冬の庭先が広がるだけでした…。
無事に終えられたことを、天と何田さんに感謝いたします。
●これまでの活動報告はHP:まつりぬしの活動報告 https://matsurinushi.com/category/report/ にてご覧いただけます。