光に繋がる愛情物語

第14回目

何田匡史さん似の存在との出逢い

2022年8月11日
語り:島道鉱泉4代目当主/能登はるみ

何田匡史さんが、この世を旅立ち、早くも半年が経ちました。島道鉱泉へ続く道のりで、雪崩に巻き込まれて、尊い命を失った彼の思いを想像する日々が続きました。わたしは、この世に生きていながら、暗黒面の闇にいたのです。生き地獄を味わっているうちは、この世の役目など果たせません。わたしは、じぶんを悲劇のヒロインのように演じていたのだと、気がつきました。亡くなった人を、いくら思い描いてみても空しさが募るばかりです。何田匡史さんとの楽しい時間を思い出すたび、涙が溢れてきて、かえって落ち込みました。自分の気持ちが、地の果てまで下る日々が続き、段々とじぶん自身に嫌気が差してきました。そういう時は気分転換が一番だと思い、いつもしないような事をしてみようと出掛けました。

5月下旬、島道鉱泉の家屋の一部が有形文化財に登録された際に、決め手になった『高田瞽女(たかだごぜ)』の保存会の総会に参加してみました。その会に参加していた中に、何田匡史さんに、どことなく似ている男性と繋がりました。わたしは、神様業界の仲間入りをした、匡史さんが繋げてくれた存在のような気がして、その彼と次の約束をするためにアポイントを取りました。亡くなった何田匡史さんが、この世に生きていてくれたら、何度も何度も考えました。

でも、もう彼の肉体はありません。彼の気持ちも判りません。ただ、ひとつだけ確かなものは、何田匡史さんは、生前から、わたしの幸せだけを願っているということです。

わたしは、何田匡史さんを忘れません。わたしは、何田匡史さんの物語を伝え続けます。わたしは、何田匡史さんを語り続けます。わたしは、何田匡史さんの生きてきた証を残していく事を決意しました。わたしと何田匡史さんの新たなステージが始まります。