日本経済の未来 その七
明治維新は、間違い!
◇お話し:積哲夫 ◇聞き手:何田匡史
二千十九年三月十三日 配信
積:パナソニック株式会社(前社名:松下電器産業株式会社)の創業者の松下幸之助さんは、お金を目標にしていませんでした。何を目標にしていたか、わかりますか?
何田:赤字を出さないため、黒字で経営をするためでしょうか?
積:赤字を出さないのは、経営の基本です。黒字は当然ですが、答えは違います。松下幸之助さんは企業を、人を雇う(雇用)ために作りました。幸之助さんの行動体系を見ていると、どう見ても人を雇うために事業をされていました。
何田:松下幸之助さんの水の・・・…えーっと…。
積:「水道理論」でしょう。上の会社が儲けないと下の会社にお金が流れていかない。変なお話し、各段階で流通在庫がいっぱいあるほうが、ものが溢れて、世の中上手く回るのだ、という考え方です。各部門、各部門でそれぞれが、利益が出せるようなシステムの方が会社としては、上手くいく、というお話です。
何田:現在の企業や会社は、如何にしてコストカットをして利益だけを出そうかとしています。
積:利益を最大値にするために、何をしなければならないのか? という形の経営になって、一番要らないのが人件費だよね、という形になっています。それって松下幸之助さんが目指していた企業の発想とは、ぜんぜん違いますよね。
何田:どの経営者も経営の神様の松下幸之助さんのように自分もなりたい、と勉強しておられます。
積:皆さん、会社の中は見るけれど、社会全体を見ていないでしょう。松下幸之助さんが、会社の最大の危機の時に現場に出て、リヤカーを引っ張って商品を売り歩いた時に、誰が買ってくれたのか? 最も協力してくれたのが松下の代理店の人達です。松下の代理店の人達が仕入れなくてもよい商品をたくさん山ほど仕入れて、売ってくれたのです。それで松下電器産業は危機を脱しました。(会社のモットーは、共存共栄)
何田:松下電器産業は、人の教育をされていたと聞いています。人材(人財)育成です。
積:それとは別に松下幸之助さんは、国家と国民の関係をずっと考えていましたね。新しい人頭税の考え方とか、いまの時代に再発見されるべきことがありますが、残念ながらその考え方を引き継ぐ人材は育てられませんでしたね。多分、普通の人の頭では、松下幸之助さんの発想法が理解できなかったのでしょう。
何田:積先生、少し話題を変えてもよろしいでしょうか? 今上天皇陛下の生前の譲位で平成の世が終わります。日本国は変わりますでしょうか?
積:日本国は、変わらないと生きていけません。
何田:変わらないと生きていけない?
積:日本国は何のために戦争に負けたのか? なぜ神様は日本国を助けてくれなかったのか? その答えは明治維新が間違いだからです。敗戦後の現在の憲法下で、日本国民は、人間としての個人の権利を完全に保障されたのです。その意味では素晴らしい憲法です。これはある意味で西洋の近代の法体系の光の部分をすべて日本国憲法に反映されています。それらの一番負の側面が憲法九条です。これらは、アメリカが二度と日本という国を自分のライバルにしたくないから作りました。第一条から八条までは天皇のことしか書いていないのです。その次の第九条で、一切の軍備を持ちません、と憲法で宣言しています。ということは、いかにこの日本国が復興したらアメリカにとって脅威になるか、それをアメリカはよくわかっていたのです。それでも日本国民には個人の権利をきちんと、光の部分として与えられました。それは明治憲法からの光の部分が引き継がれたからです。光文書(ひかりもんじょ)のvol.631「神民国家」で書きました。明治憲法は臣民でしたが、神様的には神と民の「神民」なのです。本当の国の姿は、神と民だけでよいのです。それが「おおみこころ」と「おおみたから」の関係です。(おおみこころ=天皇の精神、おおみたから=国民)
何田:神道でいう、神さまと私、または私と神さまの関係ですね。
積:天皇陛下のご退位の時には、日本人の潜在意識においては、憲法より天皇陛下のほうが上だということがいみじくも実証されましたね。
何田:それは、日本人は素直に納得します。日本人は、皆さん天皇陛下を敬っています。
積:私にいわせると、憲法第九条の憲法改正ができても、できなくても、いざとなったら天皇陛下がおられるから、または、天皇陛下が望んでおられるからで、日本国民の意志は統一されるはずです。それがこの国の強さだと思います。