神を超えよ!仏を超えよ!

第157回(Repeat)

信仰というかたち その七
差別の推移

◇お話し:積哲夫 ◇聞き手:何田匡史
初回 二千二十年二月十二日 配信

:銀行が崩壊した場合、実体経済の面では会社もお店もいつも通りに開くことができる一方で、世界中でお金の貸し借りをしている銀行の帳面上の数値は凍りついてしまうので、お金を返すことも借りることもできなくなる、するとその先はどうなりますか?

人々がパニックになった時に、人々は自分が銀行に預けているお金を銀行に取り出しに行きます。その時に銀行はお金を払えないのです。だから払わないのです。政府がそれを認めると、預金封鎖となります。この銀行の預金封鎖を、日本は歴史的にすでに経験しています。第二次世界大戦で負けた後に、この日本が経験した同じことが、今度は地球レベルで起きます。このようなおもしろいお話の種がいっぱいある時代なのです。それを材料にして、何か作って、お金儲けできるのなら、それやっといた方がいいと思いませんか?

何田:5G(次世代通信システムの中心となる革新的な通信技術)の時代が、すぐそこまできています。昔、使っていた文房具がパソコンになり、パソコンがネットワーク化して端末だけを持ち歩き、その端末も小さくなっていきます。他方でも通信速度が速いので、どんな遠く離れた場所でも一瞬で時間差を感じることなく通信や映像を届けられる、そうとなると・・・…。

:5Gの世界では、現在の世界経済のルールは壊れると思います。(何田注:5Gは4Gの現在と比べて比較にならないほど人類と世界を大きく進化させるでしょう。AI(人工知能)やIoT(Internet of Thingsモノのインターネット)により自動化が進み、人間は創造力や想像力を持っている人間が生き残ることになるからです。)

ついでにいうと、今の日本の経済界の人々も中国と共に滅びると思います。なぜなら一番お金なるのはコンテンツだからです。売れるコンテンツは人間の創造力や想像力がないと、おもしろくないからです。京都は大学がいっぱいあって、芸術大学もあればアニメーター学院もあり、若い人やクリエイターたちを集めて、新しいムーブメントを興します。というのが私の希望です。ムーブメントを興す場所は、会場費の安い京都の同和地区でいいのです。新しく集まってきた人達に、ここは同和差別の中心地区です。なぜ新しいムーブメントがこの同和地区から始まるのか? 皆さんわかりますか? そこから説明を始めたらいいのです。

世の中の新しい出来事やムーブメントの多くは、虐げられてきた人々の間から生まれてきました。そこから生まれた、新しい価値観が世界を席巻していく、その方がとてもおもしろいと思いませんか?

何田:はい、わかりました。なるほど。差別されてきた、貧しい人達の中から新しい光の経済が生まれる。とても興味深くおもしろいお話です。

:同和問題は差別されてきたけれど、江戸時代では差別されていたと同時に、保護されていたのです。その保護の部分を明治以降になくしてしまったのです。だから問題になったのです。その問題になった原因は明治維新にあったのです。この日本の国がおかしくなったのは明治維新が原因なのです。ここから考え直さないと、未来の歴史はよくなりません。

江戸時代に弾左衛門(だんざえもん)が被差別部落を束ねていた時に、弾左衛門というのは大名(だいみょう)ではなかったけれど、弾左衛門が道を通る時は大名行列と同じ格式で行列ができたということを、あなた方は知っていますか?

大名行列と弾左衛門の行列とでは、一つだけ違った点があります。それは大名行列が通る時は周りの人達は土下座していたけれど、弾左衛門の行列が通る時はみんな立って見ていました。なぜか? えた・ひにんの頭領だから。けれど大名行列と同じ格式で、弾左衛門は行列する権利を徳川幕府から得ていました。それをどう考えますか? これらの歴史を知るならば、同和差別をどうのこうのいっている人達に意見を聞いてみたいのです。

何田:学校の歴史ではそういう弾左衛門のことは教えてくれていません。

:そりゃそんな内容は学校教育では教えません。だから戦後の歴史教育は全部、本当のことを教えていません。学校の歴史教育がすべて正しかったというのは間違いと知っておくべきです。これは、義務と権利のお話です。たとえば、江戸時代は時代劇でよくやっている「ご用だ、ご用だ」と罪人を追い詰める人、この「ご用だ!」と声をかけるのは、えた・ひにんのお役目でした。提灯を持って罪人を取り囲む人です。それは弾左衛門さんの配下の人達の仕事でした。ちなみに十手(じゅって)を持つのは、もう少し偉い人です。

江戸でいうなら罪人を処刑するでしょう。普通の罪人を、処刑する人も弾左衛門さん達の仕事です。ということは江戸時代には今でいう警察の仕事は、えた・ひにんのお仕事だったということです。

何田:そうだったのですか。職業や仕事が世襲されるという風習はそういった背景からでしたか。

:江戸時代の差別はそういうものでした。現在の差別は昔の逆になって、戦後は同和地区の特権があります。すでに、今の若い人達には特定地区の差別意識はありません。しかし、戦後教育を受けた人間の多くは、特権を主張しないと損だと、考えるでしょう。そういう風潮が、日本人の創造力を奪っています。