第49回

G7サミットの意味

2023年6月 3日

 典型的な発展を遂げた国々を、「グローバルノース」と呼ぶらしいです。先日、G7の開催に伴って、広島に来た国々がそういわれる代表です。そして、これに対して発展途上にあるアフリカや中東、東南アジア、インドなど、一般的に後進国といわれている国々が「グローバルサウス」と呼ばれているのですが、世界のGDPの割合はこのグローバルサウスのほうが多くなってきているのが現状です。グローバルノースの国々は、かつての大国であり、その経済的な勢力時は覇権の斜陽とともに塗り替わってきています。

G7には、ウクライナのジェレンスキーも参加していたけれど、実質、ウクライナとロシアの間の紛争は休戦状態になっていて、今回、その復興資金を日本に求めて飛び入りで参加したと憶測されていますが、飛び入りではなく予定調和の参加にしか見えず、その背後には日本に金銭的な負担を強いるグローバルノースの国々の意図があるように見えます。だいたい、戦争中の国の代表が世界各地を飛び回って外交をしている暇があるというのが、どう考えても腑に落ちないし、異常な行動に見えます。

ところで、あまりにも益がなかったように見える広島でのサミットですが、別の角度からみれば、もしかしたら別の絵が見えてくるのかもしれません。

 

グローバルノースの国々は、ほぼ一神教の国であり、第二次世界大戦に参戦していた国ばかりです。そのように考えると、旧ソ連を否定していたロシアのプーチンの替わりに、かつて旧ソ連に組み込まれていたウクライナのジェレンスキーが代表として参加したとも考えられます。戦勝国と敗戦国が入り混じり、原爆を投下されて約33万人がなくなった広島へ集結したのですが、一神教の国(スサノオ)が日本の国(アマテラス)へやってきました。人間心としては、先に述べたような強欲な思惑一色のように見えます。しかし、原爆を落とす行動をしたアメリカをはじめ、その技術の出どころとなったドイツ、アメリカの首脳層と気脈を通じていたイギリスやフランス、世界の支配層の意を汲んで不幸で凄惨な歴史は形作られたのです。そしてどうであれ、それが表面的で儀礼なものであっても主要国がそろって「この国に、かつての戦争で原爆を投下したことを謝罪する」形が出来上がったのです。アマテラスにというよりかは、地球の主宰神であるクニトコタチの身体と伝わるこの地に、大きなケガを負わせたことの贖罪にきたともいえます。

それは、人間界の本格的な文明のチェンジにもつながります。

強欲な妬む文明から、和する文明への移行になります。古事記に書かれているスサノオの荒れた行動の底辺には、「姉への妬み」という側面を、私は見ることになります。高天原の頂点としての姉への嫉妬によって起こされた粗暴な行動。しかし、それらに同じ力で対抗するのではなく、岩戸に自ら隠れることによって、事を周りの神々の協力を得て解決に導いた結末につながりました。アマテラスは、自らが持つ力に成り立っている支配者ではないのです。

よって、それらの神話を持つこの国の在り方は、絶対的な力を持つ『俺様』が頂点に立つ物語の延長線上にはないのです。

様々な才能を持ち寄った、和する文明。これはこれで、楽しみです。

日戸 乃子(ひとのこ)