Mackeyの「命の書」通信

ジョブズ通信49「この国は騙され、間違い続けた2」

(10月27日収録:前回の続き)

 

Mackey:え、でも、三本の矢とかいって、あの頃は経団連に参加しているような大企業を応援する施策が多かったですよね? 実際にやってみたら、その大きな企業ばかりが潤って、支援が必要な中小企業までお金が回らない構造となっていたように思いますが。

Mr. A Ⅲ:財務省と関わりの深い方は、ほとんどが大企業の相談役や役員ばかりです。その人たちの利になるようにしか、結局制度を作りこめていなかったところに、この政策の穴があったことは、反省するところです。

Mackey:(ざっと中身と効果の概要を振り返って)うーん、印象としては、あんまり助けたい層の国民生活がよくなった感じはなくて、給料は上がらず、ほとんどは企業の内部留保か中抜きに消えていった……という感じですね……。大企業が中小企業にお金をほとんど回さない仕組みになっていたのと、企業が賃金を上げる気がなかったというのがこの政策の敗因だったのかしら? それとも……うーん、政治と経済って難しい。

Mr. A Ⅲ:結果だけ見れば、デフレ脱却には至りませんでした。先にも申し上げたように、国民生活を潤すにいたるほどの効果がなかったのです。原因は二つあります。過去の類似の政策実行時期を振り返れば、高度経済成長期には公共事業も活発で、また円安による好景気も後押ししていたため、その政策でも良かったのです。その状況背景を見誤ったことと、消費税増税が、結果的に国民生活に及ぼす余剰分を打ち消すどころかマイナスにしてしまいました。

Mackey:まぁ確かに、手取り十八~二十万の独身者の若者の食費が二万円前後として、収入のおよそ十~十五パーセント。その他いろいろもろもろ含めて固定費を差っ引いても、消費に回される分が仮に収入の五割ぐらいだとしたら、そこへさらに消費税分の負担が乗ってくる。実際には払うお金が増えるんじゃなくて、購買量が圧縮される効果を生むわけですから…例えば数で、百、あった消費が、ほぼ九十とか、生活必需品のことを考えると、実質八十や七十まで押し下げられるのと一緒ですよね。景気を冷やせば歳入が減るとはお考えになれなかったのかしら……。

Mr. A Ⅲ:その景気対策があるから、増税も行っても大丈夫だというのが財務省の意見でしたから。それを全く補えず、何も変わらないという悪印象だけを残したのが、三本の矢の結果でした。

Mackey:これはある筋からの意見だったんですが、トップダウン型ではなくて、ボトムアップ型の歳出が正しいという話があるんです。国民の皆に潤ってもらって、経済消費活動が活発になったら、お金のある所から吸いましょう、という。でも、それをしようとすると、きっと経済的に強い企業がお怒りになったり、天下りの時に便宜を図ってくれなくなるのが嫌で、タブーの領域になっているのでしょうね。

Mr. A Ⅲ:どちらかというと、法人税を一番嫌がっていたのは、日本の経済界ではなくて、外、外資系企業の方々です。国際企業というのはご存知の通り強かなものでして、少しでも税を払わずに利益を確保しようというマインドで行動している。どの勢力とは申しませんが、裏から相当手を入れて、経団連の方々を結果として恫喝していた可能性があるのは確かなのです。