Macky:この前、会長と話したときに、ある波動シールの組み合わせを見せてくれたんだ。「art」とあと2種類のシールだったんだけど。その波動の組み合わせから作られたヴィジョンを読んでいたらね、日本の浮世絵のように、アートが普遍的なものとして生活に溶け込み消費される、豊かな文化の姿が思い浮かんだんだ。
Macky:私はずっと、何気ない生活の中にアート、工芸品や美術品がある暮らしに憧れているところがあって。庶民の生活の中にふと紛れ込んでいる、誰かにとってはすごい価値のあるアートっていう状況が面白いと思ってる。西欧に陶器が輸出された時、緩衝材にいらなくなった浮世絵の雑誌みたいなものが使ってあってさ、その美術性の高さに著名な画家たちが衝撃を受けたって話、中学生の時にビデオで先生が見せてくれたんだ。
Steve:ジャポニズムの黎明期の話だね。18世紀から19世紀にかけての話だったかな。
Macky:よく調べてみたら、一応、諸説あるけど、1856年。たぶん江戸時代末期で、日本が開国するかどうかといった頃合いの話みたい。
Steve:ジャポニズムに魅せられたデザインは結構西洋には多いよ。有名なものだと、Louis Vuittonのモノグラムは日本の家紋にインスピレーションを得て作られたものだし、あのチェックタイルは市松模様そのものだからね。今の大きなブランドの源流にあるのは、日本の高次なアートスピリッツなんだ。
Macky:うん? そうなの? Louis Vuittonだけじゃないのかな? まぁ、あの頃あっちこっちでジャポニズムは人気になったっていうし、その頃から日本のアートには結構なポテンシャルがあったってことだね。
Steve:たぶん、モダンにも通じるポテンシャルがあるんだ。昔の色彩を大事にしている日本の職人も多いけど、今だからこそ出せる綺麗な柄とか模様もあると思う。それを作るのが楽しい人もいるはずだ。伝統と技術を守る一方で、それをもとに新しいものを作る楽しみが日本には今欠けていると思うな。
Macky:言いたいことは分かるんだけど、それだけだとなかなか食べれないんだよねぇ、現実的な話。食べにくいというか。元から芸術というのはそういうものなのかもしれないけど。
Steve:本気で志すかどうかはともかくとして、今、そういうことができる余裕が世の中から失われているんだろうと思うよ。僕はそのあたりの余裕を作り直すために、社会のデザインを設計した方がいいと本気で思っている。AIはそのために有効活用されるべきだし、もっとスマートでクールな社会が作れると思う。日本はAIを作るのに本気で参入すべきだったんだよ。いや今からでも遅くないと思うけどね。
Macky:そういうAIを作るための意識や下地を求めても、今の50代、40代のキーマン層はきっとそれを失っていると思うんだ。いや、ひょっとしたら持っているのかもしれない。誰かが憧れて作っているかもしれない。だけどなんだか…何かこう、いまいちなんだよね。デザイナーがいなかったせいなのかな。
Steve:僕は何をするにもモチベーションが必要だと思うんだ。やる気じゃなくて動機のほうね。こういう社会を目指すんだ、っていう憧れや未来予想図、ヴィジョンを日本人は今、うまく思い描けていないように思う。