6.初めての全身麻酔

珍しく息子から携帯に着信が有りました。

なんと病院に緊急搬送されてしまったということで、早急に手術の予約をとるので親の承諾とその説明を聞きに来て欲しいと言う連絡でした。「〜ということなんやけど、トーサンすぐこれる〜」と言う感じで…、「行くしかないやろ〜」と私は出てきたばかりの仕事場からとって帰りました。

気胸という、肺の薄い所が膨らみ小さな風船のようなものが出来る病気で痩せている人に稀に出る症状らしく、痩せていて手足がヒョロ〜ットしている息子の持病でもあったようなのですが、この度はその膨らみがとうとう破けて空気漏れが起こり、その片肺が機能不全に至ってしまいました。そして早急なる外科手術にて修復という訳ですが、さほど難しいオペにはならないということらしいので一安心です。 

しかし、息子にとっては初めての全身麻酔による手術で、麻酔の担当医からも細かく説明を受けましたが、まず意識を深く眠らせ、しかしそれだけでは身体が術中に動いてしまうので、身体も動かなくする薬も投与し完全に意識も身体も静止させてしまうということのようで、よって全身麻酔と言うらしいのです。なるほど…。

一緒に説明を聞いていた息子は、頻りに「手術中は絶対に痛くならないですか?」「過去に痛くなった例とかはありますか?」と聞いていました (ーー:)…? 執刀医からも術中は絶対に大丈夫と言われ、しかし術後は暫くは痛いということを正直に告げられると、痛いということに非常に敏感な息子は「やっぱり手術やめようかな〜」と何度もブツブツと言っていました。

この度のこと、連絡を受けてから病院に着くまで、そして着いてからも、非常に強く母を感じました。生前母は一人孫である息子を非常に気にかけておりましたので、いまも生きている時にはこんな反応を示すだろうということが脳裏に蘇えり「早よ病院に行ったって〜」と言ったであろうその声も聞こえてきました。

死んだ人にも家族に対する情というものが、そのたましいと共に暫くの間でも残るのでしょうか! それとも、このように考えるのは生きている者の欲目なのでしょうか! そう考えてしまうぐらい母の思いのようなものが私の身体()に入ってきて、ぶるっと震えるような感じでした。」 

術後、HCU(回復処置室)に移された息子に会いにいくと、麻酔の抜けきらない頭が重いらしくぼーっとしているようでしたが、なんとかゆっくりと会話をしていますと急に「おばあ〜ちゃんの夢を見た」と言い出しました。どんな夢かは敢えて聞きませんでしたが、笑っていたと言っていますので、それが息子の生前の祖母に対する印象なのだろうと思いました。なぜだか、それで良いと思いました。

それでよかったのでしょうか、お母さん?